PART 03:

  • 駐輪(Churin)
  • kokoronomamani
  • 参加者: 駐輪(Churin)(山口さん) kokoronomamani(阿原さん)
  • インタビュアー: 佐々木 瑞穂(BORDER!2020イベントディレクター) 山田 歩実(SHAKE ART!ライター) 吉田 琴音(SHAKE ART!デザイナー)

CHAPTER 1 :駐輪(Churin)について

吉田:駐輪さんは京都市立芸術大学の三回生四人組の版画グループということですが、グループを結成されたのはどういった経緯でしょうか?

山口さん:本を作ろうという授業があったんですけどコロナで全然会うことができなくてオンライン上でやりとりをしていたことがきっかけです。

吉田:グループの皆さんは同じ専攻なんですか?

山口さん:いえ、今回出店させていただくメンバーは、リトグラフが2人、あとは銅版1人とシルクスクリーンが1人参加しています。

吉田:先ほど仰っていた本というのは作品集のようなものですか?

山口さん:そうですね。でも既存の作品を載せるというよりかは、本のために新しく各々が作品を作り描き始めたという感じです。

吉田:本を作るという目的が、作品作りよりも先行しているんですね。

山口さん:製本を学ぶという意味でもそういう進め方をしています。本来だったら4月5月は同じ部屋で活動(制作)しているので会うはずだったのに、5月なっても会えないなぁということでオンライン上でやりとりをしていました。

吉田:山口さんの作品のコンセプトなど聞きたいです。

山口さん:そもそもは何もモチーフ対象がないものなんですよ。もう手癖から生まれる形です。でも自粛期間は立体作品も同時に作っていて、立体作品と平面のドローイングを行き来してこの形好きだなと思ったものを作品にしています

佐々木:学校行けない間って自宅では版画の制作難しいですよね。

山口さん:そうなんです、できなくって。

佐々木:その間先ほど仰っていた立体作品を制作していたと。

山口さん:そうですね。自粛期間だから時間あるなと思って(笑)今もずっと作り続けています。

吉田:なかなか置き場所や保管の仕方も難しそうな気がするんですけど、どうしてるんですか?

山口さん:自分の部屋に全部置いていて、寝るときは布団が敷き切らない状態になっています(笑)

CHAPTER 2 :kokoronomamaniについて

吉田:阿原さんは植物をモチーフにした刺繍作品を制作されていますが、作品を制作する際のコンセプトなどをお聞かせいただきたいです。

阿原さん:私はkokoronomamaniっていう屋号で活動していて、本当に心のままに作りたいなと思ったものを絵に描いたり刺繍として作品にしています。1針1針心を込めてお客様にお届けするというのがコンセプトです。

吉田:今の作風になるまでにどういった変遷があったのか気になります。始めた頃から植物をモチーフにしていることやコンセプトなどは変わらないのでしょうか?

阿原さん:小さい頃から絵を描くのは好きだったんですけど特に図形を描くのが好きで、刺繍するときも基本的に丸や資格のモチーフが結構多いです。

吉田:下書きなどをしてから縫い始めるという感じなんですか?

阿原さん:私は思うがままにやっているので布に直接チャコペンで絵を描いてそこに刺繍をしています。

吉田:全体的にコンセプトとして心のままにというのが反映されているんですね。
吉田:紙に刺繍してある作品というのは珍しい気がしますが、紙と糸という素材の組み合わせがすごく素敵ですね。

阿原さん:紙刺繍っていうんですけど、お仕事を頂く時も紙刺繍を見て声をかけていただくことが多いです。BORDER!も去年ワークショップの方を紙刺繍で出展しませんかと声をかけていただいたので出展しました。

山田:その節はお世話になりました…!!

阿原さん:基本的にどの作品も心のままに制作していますが、紙刺繍は同じものを何枚も作りたいので型紙を作ってそれを当てて穴を開けていくということをしています。

吉田:同じ柄を作る、量産するということも結構するんですか?

阿原さん:色違いとかで作るときはそうですね。がまぐちとかは布に直接絵を描いたりしてます。そのまま描いて刺繍しているのでデザインの場所とか大きさとかも全部バラバラです。

山田:ハンドメイドならではという感じがしますね。

CHAPTER 3 :駐輪(Churin) × kokoronomamani

吉田:ここからは作家さん二人に共通の質問をしていきたいと思います!まず、どういう時に創作意欲が湧くかお聞かせいただきたいです。

山口さん:何かアイデアが思いつくという意味ではやっぱりお風呂やトイレなどの水場ですかね。あとは作品を見にいく時とか。

吉田:お風呂やトイレというのはゆっくり考える時間があるからですかね?

山口さん:そうですね。多分気が抜けてるんですかね(笑) リラックスしている状態だからこそ、ぽこぽこっと出てくることは多々あります。

阿原さん:私は誰かのことを思い浮かべて、それを誰かにあげたいなとか贈りたいって思った時です。このお花好きかなとか相手のことを思っていつも作っています

吉田:一つ一つの作品にそのような想いが込もっているんですね。

阿原さん:そうですね。今はもう取っていませんが、お客様にオーダー頂いた時もそういうイメージを膨らませて作ったりしていました。

吉田:制作のスランプに陥った時にはどのように対処されますか?

山口さん:私はとりあえず作業場から離れますね。もう物理的に製作所から離れるていうのはよくやります。ですっきりして返ってきて、よしやるぞという感じですね。

阿原さん:私もスランプとかになったら違うことをして気分転換をするというのが多いですね。

山田:何をされることが多いんですか?

阿原さん:とりあえず一回寝ます(笑) 一回寝てまたやりたくなったら作業に戻るという感じです。

吉田:なるほど。やっぱり一旦作業を離れるというのは大切かもしれないですね。
吉田:ここからは作家さん同士でお話していただきたいと思います。

山口さん:阿原さんの作品を初めて拝見させていただいたんですけれど、お花はどういう選び方をしてるんですか?

阿原さん:私音楽が好きで、音楽を聞きながらジャケットとかこの曲に合うなとかをイメージしながらデザインしたり、実際のお花を見て描いたりとかもあります。

山口さん:音楽からというのがすごく素敵ですね!

阿原さん:最近だと東京スカパラダイスオーケストラとaikoで『ブルーデイジー』っていう曲が出たんですけど、それを聞きながらひたすらブルーデイジーを刺繍していました。

山口さん:私もスカパラはたまに聞くのでなんか嬉しくなりました(笑)

阿原さん:じゃあ私からも質問というか、芸大での授業などを通してハンドメイドにつながっていることとかってありますか?

山口さん:ハンドメイド作品を作るチマチマ部という部活があって、それぞれがお家で制作したアクセサリーとか小物を芸祭とかのイベントに参加して販売するという部活なんですけど、物づくりをしたいという思いがみんな根底にあって、それを形にするなら普通に描けばいいだけなんですけど、そうじゃなくて過程を積み重ねるという意味でそこから自分なりの物づくりをできたら良いなという人たちがいっぱいいますね。阿原さんお会いしたことはありませんがチマチマ部にいそうだなと勝手に想像していました(笑)

阿原さん:芸大らしい感じがしますね(笑)楽しそうです

山口さん:めちゃくちゃ楽しいですよ!

山田:山口さんも阿原さんも描くところをリトグラフであったり刺繍であったりの手段で再翻訳している感じがすごく共通していてお話が合いそうだなと個人的に思いました。

山口さん:再構成というのは確かに私も制作しているときに最近よく考えます。立体作品を版画作品にする過程で絶対にその間にズレが生じるんです。そういうのが面白いところだなと思います。

阿原さん:刺繍も塗り絵みたいな感じで、糸を使って色をつけるとか線を描くというようなところで、絵を描くのと似たところがあると思います。

吉田:でも刺繍って平面とも言い難いし立体と平面どっちなんだろうって難しいところなんですけど、作っている時ってそういうことは意識しているんですか?。

阿原さん:私はどっちかというと立体が苦手で刺繍は平面とおもっています。でもぷっくりしているのが可愛いので私は刺繍が好きですね。

山口さん:描くのとは似ているようで違うという点が刺繍と版画で類似しているんじゃないかなと思います。ぷっくり感とかもすごくわかります。わざとインク盛り盛りにして凹凸をつけたりもするので(笑)

吉田:ーそろそろお時間なので終了させて頂きます。お二人とも長い時間ありがとうございました!

山口さん:ありがとうございました!

阿原さん:ありがとうございました!

BORDER!2020

このサイトの情報は2020年11月におこなわれた第二弾の内容です。