PART 05:
- 坂口亭タイガース
- MOTU
- 参加者: 坂口亭タイガースさん MOTUさん
- インタビュアー: 佐々木 瑞穂(BORDER!2020イベントディレクター) 山田 歩実(SHAKE ART!ライター)
CHAPTER 1 :坂口亭タイガースについて
- 山田:タイガースさんは色々なジャンルの平面作品を作られているんですね
坂口亭タイガースさん:最近はしょうもないものを作りたくて、結構作風がガラッと変わったんです。ダジャレに近いイラストを好きで作っています。今までの作品の中で一番多いのが、貼り絵とちぎり絵です。それは封筒とか廃棄紙とか、捨てる紙の余白を使って作品にしています。
- 山田:作風も多岐にわたる印象を受けました。
坂口亭タイガースさん:そうなんですよ。最初はちぎり絵を主に作ってたんですけど、これめっちゃ時間かかるんです。最近はハイペースで作ることを目標にしていて、時間をかけて作るちぎり絵は優先順位低めです。
- 山田:『眩暈を紛らわす作品作り』というのは?
坂口亭タイガースさん:僕は小さい時から平衡感覚がめっちゃ弱くて。今も原因はわからないんですけど、寝ている時以外はずっと船酔いしているような状態なんです。
- 山田:想像しただけで辛いです…
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坂口亭タイガースさん:嫌でしょう? それで2013年かな、幼稚園の時にやってた貼り絵を作り始めたんです。作っているときって集中するので、眩暈が気にならなくなってくるんですよ。そこからいろいろなものを作るようになりました。眩暈は治しようがないんですけど、うまく付き合う方法として作品を作ってます。
- 山田:絵を描く時に集中して気が紛れるというのはすごくわかります。
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坂口亭タイガースさん:作品を作るときはもちろん、最近の作品に多いシャレを考えたりするときもすごく気が紛れるので助かっています。
CHAPTER 2 :MOTUについて
- 山田:続いてMOTUさんの作品を紹介します。MOTUさんは彫刻を中心に絵画も作成されています。
MOTUさん:そうですね。彫刻がメインではあるんですけど、そもそもMOTU名義で活動を始めたのが超最近で、今回のBORDER!が最初になります。
- 山田:そうなんですね!名前を変えた理由はなんなんでしょう?
MOTUさん:作家活動と自分自身と距離を置きたかったので名前を変えました。本名で活動するとどうしてもカッコつけたくなっちゃうので…
- 山田:大学生で作家名で活動するのって勇気いりますよね…!
MOTUさん:作品はおもちゃを題材にしています。おもちゃってすごく可愛いフォルムでキャッチーで、ファンタジックですよね。なのに値段が安くて、よほど思い入れがなければ消耗品として捨てられるっていうネガティヴな面を抱えているということが興味深くて。
- 山田:このおもちゃのなんとも言えない顔好きです…(笑)
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MOTUさん:作品はメルカリで買ったおもちゃをモチーフにしたんですけど、そのおもちゃの傷や欠けを見ると、それを持っていた子供の、おもちゃに対する粗野な扱い方がわかるんですよね。おもちゃを通じて持ち主やその家族の文化に触れる、そのマテリアルとしておもちゃがすごく面白くて、それをコンセプトにして本当に最近制作を始めました。作品のメッセージをもっと伝えられるように日々精進という感じです。
- 山田:MOTUさんの作品を見ていると、押入れの奥にしまい込んだ人形を思い出してしまいます…
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MOTUさん:僕もまさにそういうことがきっかけだったんです!
- 山田:大学などで彫刻を学ばれていたんですか?
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MOTUさん:東京藝大で彫刻を学んでいました。大学生の時の制作では参加型の大きいものを作ったり、子供が展示品を扱うある種の暴力性を作品に取り入れた作品を作ってみたりしていました。
CHAPTER 3 :坂口亭タイガース × MOTU
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坂口亭タイガースさん:仕切り直しのきっかけはあったんですか?
MOTUさん:もともとずっと名前を変えたかったんですけど、大学生の時はアーティスト名に活動するのが恥ずかしかったんです。でも、芸術っぽいことを考えながらモノを作ることにずっと違和感があって、等身大でモノを作るための名前としてMOTUとして仕切り直して活動を始めようと思いました。
- 山田:坂口亭タイガースさんも本名ではない…ですよね?
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坂口亭タイガースさん:僕はなぜこの名前にしたかというと、実は師匠がいまして…
- 山田:師匠…!?
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坂口亭タイガースさん:坂口恭平という小説書いたり絵を描いたり、歌を歌ったりしている人なんですけど、その人に弟子入りしたんですよ。小説を読んで興味を持ってTwitterを見たら、電話番号が載ってて。そこに掛けたんですよ。そしたら丁度弟子募集していたので、二言三言喋って。当時阪神タイガースの仕事をしてたことを話したら、『じゃあ決定今日からお前は坂口亭タイガースだ』って決まりました。その一週間後くらいに仕事やめて熊本に行ったんですよ。その瞬間から本名はなくなりました。
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さん:弟子の期間はいつ頃まであったんですか?
坂口亭タイガースさん丸一年くらいですね。
- 山田:何を教わったんですか?
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坂口亭タイガースさん:行った初日に『教えることはないが、振る舞いだけ見ておけ』って言われたんですよ(笑)
MOTUさん:なるほど…
坂口亭タイガースさん:坂口さんは『建てない建築家』を名乗っていて、廃材を使って家を建てるんです。なので、捨てる紙を使って作品を作るのはそこの影響を受けていると思います。
MOTUさん:坂口亭さんの作品を見ているとユーモアさもありつつ等身大の目線、というのが作品に一貫してあるような気がします。風景の絵とか、食べ物の絵とか。
坂口亭タイガースさん:ありがとうございます!
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坂口亭タイガースさん:僕は制作する行為自体がすごく面白いなと思っていて。わざわざ時間かけて準備して作品を作るってめっちゃ面白くないですか?(笑)
MOTUさん:わかります(笑)
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坂口亭タイガースさん:僕は『真面目に不真面目に』って言葉が好きなんですけど。義務でもないのにわざわざ作らなくていいものを作る時間ってアホやなあと思うんですけど、笑えていいなあと思って。その行為自体も一つのユーモアかなと思います。
MOTUさん:やっぱりプロセスも大事ですよね
坂口亭タイガースさん:MOTUさんも彫刻の作品も一つ一つ彫ってるんですよね。
MOTUさん:彫ってましたね〜今思えば…(笑)
- 山田:気が遠くなりますね…
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坂口亭タイガースさん:そういう過程も全部面白いからね。しょうもないものほど一生懸命作っちゃう。
- 山田:観る側も作家さんがどうやって作ったのか想像しながら観るのは楽しいです!!
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坂口亭タイガースさん:しょうもないモノでも寝ずに作ってたら面白いですよね〜
MOTUさん:それが本当に幸せな時間だと思います。自分は結構考えちゃう性質なんですけど、しょうもなさは忘れないように心がけています。さっき言ってた『真面目に不真面目に』を大切に制作していきたいです。
- 山田:貴重なお話ありがとうございました。お二人のアーティストトークを聴けてとても面白かったです!では、そろそろお時間なので終了させて頂きます。お二人とも長い時間ありがとうございました!
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MOTUさん:ありがとうございました。
坂口亭タイガースさん:ありがとうございました!